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Endhits Studio の特徴 その③

Date:2017年5月28日

エンジニアの中村フミトと申します。今日はEndhits Studioの録音システムのもう一つのオプションである、UNIVERSAL AUDIO Apollo 8p システムについてご紹介したいと思います。

 

◇ UNIVERSAL AUDIO Apollo 8p システム ~プラグインとモデリング技術~

サウンドエンジニアであればUNIVERSAL AUDIOというメーカーを知らない人はいないと思います。(UNIVERSAL AUDIO社をご存知ない方はコチラに詳しく書いてあります)

レコーディング史に残る数々の銘機を開発してきたUNIVERSAL AUDIO社ですが、現在はビンテージ機器をモデリングしたプラグイン開発に長けたメーカーになっています。今や同社のUAD-2プラグインが使用されていない楽曲のほうが少ないのではないか、と思うほど世界的にポピュラーなプラグインメーカーです。

私自身もUAD-2プラグイン登場以前は頑なにアナログ卓ミックスにこだわっていましたが、UAD-2プラグインの優れたアナログモデリングサウンドを聴き「こりゃ良いわ〜!」ということでITBミキシング(※)も行うようになりました。
※「ITB」→「In-The-Box」:アナログ卓を使用せずにコンピューター内部のみでミックスを行うことの総称

 

Endhits Studioで同時録音できるのはアナログ24チャンネルですが、そのうち8チャンネル分のINPUTはUNIVERSAL AUDIO Apollo 8p というオーディオI/Oが担っています。

Apollo 8pの最大の特徴は、何と言っても前述の優れたアナログモデリング技術を録音時に活用できることです。

 

例えば、ボーカル録音の際に「マイクプリとEQはSSL 4000 Gで 、インサートには絶妙な歪みを持つUniversal Audio 1176 Blueyを使いたい!」という時はこんな感じで、、、
または「このギターアンプにはAPIでパンチを出しつつ、さらにFairchild 660でサウンドをウォームに仕上げよう!」と思えばこんな風に、、、

はたまた、「アル・シュミット先生のVocal セッティングを再現したい」となればこんな感じで、、、

 

このように8チャンネル分の録音トラックに対して、同社が誇るアナログモデリング技術で忠実に再現されたビンテージギアのサウンドが録音できるわけです!

もちろん実機と完全に同じサウンドというわけではないですが、その再現性は高く、何度かのテストレコーディングを経て十分実用に耐えうるクオリティであることを確認できたので導入を決めました。

 

さらに、Apollo 8pのアナログモデリングのメリットはこれだけではありません。

それはこれだったり、、、

 

これだったり、、、

 

これだったりします。

 

そうです!AmpegやMarshall、ENGLなどの有名メーカーのアンプ・モデリングです。

Apollo 8pにはHi-Z端子が2つ用意されていて、楽器から直接(もしくはコンパクトエフェクター経由で)シールドケーブルをApollo 8pに挿して上記プラグインを立ち上げるだけで精巧なアンプサウンドを得ることができます。しかも、同社が誇るUnison™テクノロジーは実際のアンプの物理的な入力インピーダンスやゲインステージなどをそっくりそのまま再現します。

私が個人的に気に入ったのはベースアンプのモデリングで、特にAmpeg B-15Nのモデリングは自分がマイクを立てて録音したサウンドとかなり近い印象を持ちました。これを利用すれば、ハードウェア・アンプを所有せずレコーディングごとにレンタルしているクライアントにコスト面で大きなメリットを提供できます。

もちろん、Endhits Studioには2つのアンプブースがありますから、通常通りアンプにマイクを立てて録音することもできます。しかし、この豊富なラインナップは、すでにお気に入りのハードウェア・アンプを所有しているアーティストにとっても、曲調やパートに合わせた素晴らしいセカンドチョイスになるでしょう。

 

古くはLine 6社のPODシリーズのヒットから現在まで、アンプのモデリング技術は飛躍的に向上している印象があります。現在、モデリングアンプ製品としてはFractal Audio SystemKemperPositive Gridなどの製品が有名ですが、Endhits Studioではそれぞれの製品の比較試聴を進めています。

私の友人であり、たくさんのハードウェア・アンプを所有しているロックギタリスト(彼はエンジニアリングも手がけます)を交えて試聴会を行ったところ、「モデリングされたサウンドは実機と全く同じではないが、楽曲の中にミックスされたら実機のサウンドと見分けるのが難しいレベルまで来ている」というのが彼と私の共通意見でした。

 

今後、クライアントのメリットになると判断できれば、Endhits Studioでもいずれかのモデリングアンプ製品を導入するかも知れません。いずれにせよ、これからのレコーディングには、ますますアナログモデリングやAI(人工知能)などの先端技術が導入されるようになるでしょう。

 

次回はスタジオのレコーディング機材以外の部分のこと、そして今回スタジオを作るにあたってご協力いただいたプロフェッショナルな方々をご紹介したいと思います。

Endhits Studioが気になった方は、ぜひスタジオ見学にきてくださいね!

~スタジオ内覧会のご案内~
日時
6月1日(木) 11:00~17:00
6月2日(金) 11:00~18:00
6月3日(土) 11:00~18:00

場所
Endhits Studio
東京都目黒区東山2-8-6
TEL:03-3714-3969
スタジオへの最寄り駅、地図はACCESSページをご確認ください。

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